vol.265

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 審判は石である
 ~二つの誤審が教えるもの~
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   Sport Philosophy
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 審判は石である
 ~二つの誤審が教えるもの~
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 決勝トーナメントが始まって2010年FIFAワールドカップも佳境に入った。一試
合一試合が世界サッカーのベストマッチに相当する。中でも欧州の巨頭ドイツ
対イングランドが注目を集めた。結果は、4-1の大差でドイツの勝利。しかし
ドイツが2点を先取してからイングランドが1点を返した直後前半38分に、ラン
パードの放ったシュートがクロスバーに当たって落ち、はね返ったボールが再びバ
ーに当たり、そのボールをGKがキャッチ。審判はゴールを認めなかったが、ビデオ
の再生映像では明らかにボールはゴールラインを超えていた。

 1966年のイングランドでの西ドイツ対イングランドの決勝では、イングランドの
CFハーストが放った延長のゴールが決勝点となったが、これもゴールライン上に
あったように見えた。44年後のお返し?!

 メキシコ対アルゼンチンの試合では、アルゼンチンが奪った先取点が明らかな
オフサイドであることが再生映像で分かった。メキシコも直後に抗議したが、副
審は認めず、結果、アルゼンチンが0-3で勝利。

 一瞬の誤審がそのゲーム自身を決めてしまう。まさにレフリーはゲームの指揮
者である。

 しかし、サッカーのルールではレフリーは「石」でもある。審判に当ったボールが
方向を変えて、試合の行く末に影響を与えたとしてもそれは「石」であるから関
係がない。

 上述の二つのビッグマッチでの誤審で、裁定へのVTR導入などの科学的改善
の意見が出るかもしれないが、しかし、サッカーの本質がそれを拒否することを明
示しおきたい。

 もともとサッカーというゲームには、判定は不要なものであった。競い合う二つの
チームがあれば、それで事は足りたのだ。なぜなら、彼らはフェアプレーという精神
の上のゲームを戦っているはずだからだ。

 今のボールがタッチラインを割ったのは、僕の足に当ったからだ。ならばボールは
君たちのものだ。今のボールは明らかにゴールラインを超えていた。だから君たち
の得点だ。と仮令それが自分のチームに不利な結果であろうとも正々堂々と宣
言するのがジェントルマンであるからだ。

 審判はそれらジェントルマンがいちいち宣言する手間を省くために存在するだけ
である。

 従って、かようなビッグマッチで再生映像が何を語ろうが、そこにある結果を受け
入れるしかないというのがサッカーなのだろう。まさに「石」が下した裁定を包み込
むだけの器量を持つしかないのだろう。「懐石」だ。そしてそれがスポーツが結果が
絶対されど全部ではないという真理なのかもしれない。その器量ある国だけが、
44年後の逆転を享受するのかもしれない。
 
 後20分でキックオフの日本対パラグアイ。どんな状況においても、日本人たる
闘いを見せていただきたい。それが「石」にも負けないということだろうから。
 

                                                                          (敬称略) 
              
  2010.6.29.22:39      
                                    明日香 羊 
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  P.S.

 「懐石」 禅の修業の断食中、石を温めて懐に入れておくことで、空腹を忘れる。
 今、前半を0-0で終了した日本。どきどきの闘い。選手たちの懐にある熱い石
 が、日本人のサッカーを爆発させてほしい。そう思っています。

この記事について

このページは、Genki_na_Atelierが2010年6月30日 02:05に書いた記事です。

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